中国側の報復もアメリカ同様、2段階に分かれている。農産品、自動車、水産品など545品目約340億ドル相当分については7月6日から課税を開始し、化工製品、医療設備、エネルギー製品などその他の製品品目、実施時期については別途公表するとしている。
これによって、アメリカ株では、テスラモーターズなどの自動車関連が影響を受けそうだ。世界貿易の停滞懸念から、商品先物市場への影響も懸念される。設備機械関連や中西部を中心とした農業関連が影響を受けそうだ。
アメリカ国内ではこの保護貿易政策に関して、賛否が大きく割れている。また、トランプ大統領の発言、行動は短期間で豹変する。米中貿易協議では、5月17日、18日に行われた第2回協議では「貿易戦争を行わず、相互に行っている追加課税徴収を停止する」といった合意が得られていたにもかかわらず、29日にはそれを破棄すると発言、6月15日の決定に至っている。
15日の発表では、トランプ政権はまず、340億ドル相当について追加関税をかけるとしているが、実施期日は7月6日である。ギリギリまで交渉を行い、中国側の出す条件次第では実施も取り下げる可能性もあるだろう。
米中貿易紛争の激化は、中国においても大きな影響があるが、アメリカにおいてもそれは同様である。特に、トランプ政権を支える中西部の農家への影響は大きい。また、株式市場への影響も見逃せない。株価下落は、中間選挙において不利である。今後も、トランプ大統領の貿易政策は激変する可能性がある。
日本株では中国関連株が広範囲に売られているが、空売りの深追いにはリスクがありそうだ。むしろ下げたところで、逆張りのタイミングを図るのも選択肢のひとつだろう。