スポーツと経済、この一見まったく無関係に見える両者は、ときに意外な相関を見せることがある。身近な事象と景気の関係に詳しい三井住友アセットマネジメント、チーフエコノミストの宅森昭吉氏は、サッカーW杯の優勝国の経済について興味深い指摘をする。
「サッカーW杯を制した国では、その年の経済成長率が前年を大きく上回る傾向がみられます。サッカーは多くの国で最も人気のあるスポーツですから、W杯制覇は国民的な慶事で、個人消費や投資が大いに刺激されているのではないでしょうか」(宅森氏。以下、「」内同)
1986年からの記録をみると、サッカーW杯の優勝国は1986年がアルゼンチン、1990年西ドイツ、1994年ブラジル、1998年フランス、2002年ブラジル、2006年イタリア、2010年スペイン、2014年ドイツという顔ぶれだ。いずれの国でも、優勝した年の経済成長率は前年を上回っている。全てを平均しても、開催前年の経済成長率が0.4%であるのに対し、開催年は3.7%と、3%強伸び率が高まっているのだ。変化幅が少ない例でも約1%程度は伸び率が高まっている。
日本経済もサッカー日本代表の成績に影響される
優勝経験のない日本も、サッカーが経済に大きな影響を与えた例はある。1997年にサッカー日本代表がW杯初出場を決めたいわゆる「ジョホールバルの歓喜」は、日本の株式市場に奇跡をもたらしたのだ。なにしろこの日は、北海道拓殖銀行の経営破たんが発表された日で、大暴落してもおかしくないタイミングだった。にもかかわらず、当日の日経平均株価は1200円も上昇しているのだ。