シャープ、三洋、タカタ……名だたる日本の名門企業が、次々と事実上の中国資本傘下となっていく。もはや、日本のビジネスマンにとって、「中国人といかに働くか」は喫緊の課題だ。ところが、日本人のほとんどは、中国人の「働き方」を理解していない。
20年近く中国各地を訪ね歩き、『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)を上梓した橘玲氏と、上海の寿司店の職人やホストなど、さまざまなアルバイトを経験し、『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(小学館新書)を著わした西谷格氏が、「日中の労働者」の価値観の違いを語り合った。
西谷:上海で現地駐在員の人たちと話すと、「自分たちはこんなに頑張っているのに、中国人は残業しないので困る」と愚痴を言うんです。
橘:中国人にはサービス残業なんてあり得ない。成都で知り合いが経営する会社を見学したことがあるんですが、夕方6時には大きなフロアに日本人以外誰も残っていなかった。残業してもらおうと思ったら、かなり給料を割り増ししないといけないと言っていました。
西谷:かといって不真面目なわけではないんですよね。
橘:そう。合理的に説明すれば頑張る。北京でベンチャー企業をやっている友人によると、「僕らがここで頑張ると、会社が成功する。君も会社の株を持ってるんだから、こんなに儲かるんだよ」って言うと、必死に頑張るらしい(笑い)。