“人生で家の次に高い買い物”と称される「生命保険」。生命保険文化センターの調査によると、全世帯の約9割が加入しており(個人年金保険を含む)、世帯平均で年に約39万円支払っているという。実質賃金が上がらない一方で、多くの家庭にとって大きな出費となっている生命保険。だからこそ「保険の見直し」に注目が集まっている。こうした「見直し需要」の取り込みに向け、各社が続々と参入しているのが通称「健康増進型保険」だ。
これまでの生命保険は、「病気など、もしものときの備え」というイメージが強く、「加入時の健康状態で、保険料が決定される」ものが大半だった。しかし「健康増進型保険」は、リスクをカバーするのではなく、「リスク自体を減らすために、継続的な健康活動を促す保険」で、保険料も固定ではなく、加入者の生活習慣や日々の健康活動に応じて変動するという点が特徴だ。
2017年以降、生保各社は健康増進型保険の新商品を次々に投入している。例えば「歩くこと」に特化しているのが、東京海上日動あんしん生命から発売されている「あるく保険」だ。ウエアラブル端末とスマートフォンを使い、定期的なウォーキングに対して還付金を支払う仕組みとなっている。
さらに、今年3月に第一生命から発売された「ジャスト」は、契約時に健康診断を提出するだけで保険料が割り引かれる仕組み。体格指数(BMI)や血圧、血糖値などが基準を満たしていれば、保険料が最大20%割引となる。
住友生命からは今年7月、「Vitality(バイタリティ)」が発売される。もともとVitalityは平均寿命が短いという社会課題を解決するため、1997年に南アフリカのディスカバリー社で開発された健康増進型保険。南アフリカ以外にも世界17の国と地域で約750万人に提供されている。加入者の年間を通じた健康増進活動等への取組みが、ウエアラブル端末やスマートフォンを通してポイント化され、累計ポイントによって年間のステータスを決定。ステータスが高いほど、年間の保険料割引や、提携のパートナー企業が提供するサービスなどといった魅力的な特典が得られる。
健康増進型保険により、加入者が健康になればもちろん家計へのプラスとなるが、別の効果も期待できるという指摘もある。