投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が7月2日~7月6日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は上げ渋りか。金融市場最大の懸念材料である貿易戦争の不透明感は払拭されていないため、ドルを積極的に買い進めることは難しい。通商摩擦激化の影響で一部経済指標が悪化した場合、米金融政策の修正が意識されることから、ドル売りに振れる可能性はあろう。一方、ドイツ政局流動化に対する警戒感はひとまず低下したが、欧州中央銀行(ECB)による早期利上げ観測は大幅に後退しており、ユーロ買い・米ドル売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。
米トランプ政権は中国の知的財産侵害への対抗措置として、7月6日から500億ドル相当の中国製品に対して追加関税を賦課する予定となっている。期限が迫るなか両国の対応が注目される。それとは別に、トランプ大統領は自国ハイテク企業への中国の投資制限について、やや態度を軟化させたが、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は「トランプ大統領は中国に対し姿勢を緩めていない」と発言している。トランプ政権の対中政策を正確に読み取ることは難しいとされており、リスク選好的なドル買いは手控えられよう。
貿易摩擦激化への懸念が強まるなかでもドルが底堅い値動きを維持してきたのは、堅調な経済と米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続の姿勢だ。ただ、1-3月期国内総生産(GDP)確定値は市場予想を下回っており、拡大基調継続の観測は一服した。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や6月雇用統計などで貿易摩擦激化の影響がみられた場合、リスク回避のドル売りが広がる可能性は残されている。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(7月5日公表予定)
7月5日に公表される6月12-13日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、年4回の利上げシナリオの手がかりを得られるかが焦点。慎重な意見が目立つ内容ならドル買いは低調になりそうだ。
【米・6月雇用統計】(7月6日発表予定)
7月6日発表の米6月雇用統計は、失業率3.8%(前回3.8%)、非農業部門雇用者数は前月比+19.8万人、平均時給は前年比+2.8%が市場コンセンサス。米国景気の拡大基調は続いているが、市場予想を下回った場合ドル買いは後退しよう。