2020年卒業予定の大学生たちは、夏休みのインターンシップへの申し込みを皮切りに事実上の就職活動をスタートさせている。今後、会社説明会(セミナー)やエントリーシート提出などで本格的な採用選考が始まる。その際、大学名でこっそり学生をふるいにかける「学歴フィルター」が仕込まれていることがある。企業は一流大学に“地頭の良い学生”が多いことを経験上知っているからだ。だが、地頭が良い学生でも落とされることがある。『学歴フィルター』(小学館新書)の著者で就職コンサルタントの福島直樹氏が解説する。
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私は学生を支援する一方で、企業の依頼を受けて面接やグループディスカッション(集団討論)で面接官を務めた経験もある。
その経験や取材をもとに言えば、当然ながら“地頭が良い”学生だからといって必ずしも受かるわけではない。企業は能力だけを評価するのではなく、人柄も評価しているからだ。次の事例は象徴的だ。「最貧国で利益が上がるイベントを考えてください」というテーマの集団討論だった。
ある女子学生が「アフリカなどの最貧国で就活の合同企業説明会をやったらどうでしょうか」と提案する。
すると、間髪入れずに男子学生が反論した。
「それはダメ。理由は2点。1点目、最貧国には新卒採用をする企業が存在しない。2点目、最貧国には大学生もいない。つまりマッチングしない。以上」
切り捨てるような発言にしばらく静まりかえり、女子学生が「……あの、私の意見を修正してくれて、ありがとうございます」。
頷く男子学生は得意気に見えた。しかし私はこの男子学生について、次のように感じていた。
〈君は頭が良い。しかし性格は最悪だ……〉