その後も他の学生から述べられる様々な意見に、この男子学生は否定的だった。意見が異なることは悪いことではないが、反論の仕方、言い方が問題だった。
たとえ論理的であっても、人柄に問題があれば顧客や上司、同僚と円滑に仕事をすることは期待できない。私は彼に5段階で下から2番目の低評価をつけた。彼は選考に通らなかった。
このように上位大学の中には、地頭がよくても人柄に問題があって落選する「評論家」がいる。人柄の良い人間とともに働きたい──これは外資系も含めほとんどの人気企業の人事の本音である。
●ふくしま・なおき/1966年長野県生まれ。就職コンサルタント。上智大学文学部卒業後、大手広告会社勤務を経て、1993年より就職に関わる執筆、講演活動、学生の就職支援を行う。最新刊に『学歴フィルター』(小学館新書)がある。