同研究で明らかにされた『「世帯収入(税込年収)」と学力の関係』によれば、小学生も中学生も世帯収入が上がるほど子どもの成績が上がっている。
例えば中3(数学B)では世帯収入が200万円未満の子の平均点は30.0点だが、世帯収入が1200万~1500万円の子の平均点は54.7点である。実に大きな差がある。残酷な現実ではないか。
お金持ちの子どもほど勉強ができる、そして、貧困世帯の子どもほど成績が低い。子どもにとって過酷な現実が客観的なデータで判明してしまったのだ。
またこの研究では、親の学歴が高ければ、子どもの成績も良い傾向にあることも明らかにした。大学院卒→大卒→短大専門卒→高卒→中卒、という親の学歴順に子どもの成績も下がっていた。
これだけを見ても、努力評価説の根拠は完全に崩壊している。つまり、社会的公正という観点から見て、学歴フィルターには問題があると言わざるを得ない。
●ふくしま・なおき/1966年長野県生まれ。就職コンサルタント。上智大学文学部卒業後、大手広告会社勤務を経て、1993年より就職に関わる執筆、講演活動、学生の就職支援を行う。最新刊に『学歴フィルター』(小学館新書)がある。