2020年卒業予定の大学生たちは、夏休みのインターンシップへの申し込みを皮切りに事実上の就職活動をスタートさせている。今後、会社説明会(セミナー)やエントリーシート提出などで本格的な採用選考が始まる。その際、大学名でこっそり学生をふるいにかける「学歴フィルター」が仕込まれていることがある。だが、残念ながら、いわゆるFラン大学の学生は「不利な状況を、さらに自ら不利にしている」と専門家は指摘する。『学歴フィルター』(小学館新書)の著者で就職コンサルタントの福島直樹氏が解説する。
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大学名でこっそり学生をふるいにかける「学歴フィルター」は確かに存在する。低選抜大学(この中に、いわゆるFラン大学が含まれる)の学生にとって不利なのは事実だ。だが、やり方次第で彼らは上位大学の学生と伍して戦える。それはこれまで私が就職コンサルタントとして指導してきた経験から自信を持って言える。
だが、残念ながら意欲の面で彼らが上位大学の学生に見劣りすることがある。意欲は就活における行動量に直結する。
厚労省関連で就活生向けに情報提供や対策講座などのサービスを行う団体の担当者から聞いた話だ。
「就活の解禁にあわせて、私たちも業界研究やエントリーシート対策講座などのサービスを開始しますが、最初は上位大学の学生ばかり来るんですよ。中堅大学も来ますが少ないですね。低選抜大学(この中の一部はFラン大学)にいたってはさらに少ないのです。
ただでさえ上位大学が有利なのだがら、個人的には中堅大学や低選抜大学の学生に頑張ってもらいたいんですよ。でも残念ながら来てくれないんですよね。各大学へは偏差値に関係なく満遍なく広報しているんですが、どうしてでしょう?」
就活の行動量、活動量は概して上位大学の学生の方が多いというのだ。定量的なデータがないので数字で証明することはできないが、長年学生を見てきた私も同感である。これがさらに上位大学が有利な状況に拍車をかけている。
私はいわゆるFラン大学の学生を否定したいのではない。彼らを指導することにやりがいを感じているし、長年応援してきた。そして上位大学に伍して戦い、大手企業から内定を得た学生も知っている。ただし、そのためには学生本人に意欲がなくては難しい。
だが、偏差値の低い大学の学生には、意欲を失ってしまったように感じられる人もいて、とても悲しくなる。