キャリア

Fラン大学の学生、就活の敵は「学歴フィルター」だけではない

 それなりに長い年月この仕事をしていると、毎年私が講演をしている大学の中には、ゆっくりと偏差値が下がっていく大学がある。昔と今で明らかに雰囲気が違う。

 偏差値が高かった頃は学生が「ピシッとしている」印象があった。私の講演中、学生は話に集中して、あまり動かない。またほとんどの学生が講師の私に視線を注いでいた。外部の講師から「自分たちがどう見られているか」を意識しているように感じられた。

 偏差値がやや下がった今はどうか。「だらっとしている」印象になった。話に集中せず、ごそごそ動く学生が増えた。講師を見ずにパンフレットやスマホを見ている。必然的に私と目が合う学生が減った。外部の講師から「自分がどう見られているか」を意識していないようだ。特に男子学生にそのような傾向を感じる。

「学歴偏重、偏差値至上主義は諸悪の根源だ」という批判は昔も今もある。しかし良し悪しは別として、偏差値は何かの事実を物語っている。

 私は社会的公正という観点から見て、学歴フィルターには問題があると考えている。しかし現場で学生と長年接していれば誰でも自然と気づいてしまう。そして多くの企業の人事はそのことを知っている。それは企業が学歴差別を行う理由の一つと思われる。

●ふくしま・なおき/1966年長野県生まれ。就職コンサルタント。上智大学文学部卒業後、大手広告会社勤務を経て、1993年より就職に関わる執筆、講演活動、学生の就職支援を行う。最新刊に『学歴フィルター』(小学館新書)がある。

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