「ある日、娘の部屋を掃除してたら机の上に派手なデザインの空き缶があったんです。聞いたら、『エナジードリンク』というものらしい。『周りもみんな飲んでいる。飲むと頭がシャキッとして勉強がはかどるんだ』と言うんです。塾の帰りに買って、部屋で飲んでいるというから、びっくりしてしまいました」(小学6年生の娘を持つ母親)
「エナジードリンク」には、眠気を覚まして頭を冴えさせる効果があるカフェインが多く含まれている。海外で普及していたエナジードリンクが日本に上陸したのは2000年代半ば。以来、ビジネスマンやスポーツ選手などに愛飲されてきた“大人の飲み物”だったが、最近では何と小中学生の間でも流行しているという。
この現象を調べているジャーナリストの秋山千佳氏は言う。
「日本体育大学の野井真吾教授とともに全国の小中高校の養護教諭1096人にアンケート調査したところ、『自分の学校に、エナジードリンクを習慣的に飲んでいる子供がいる』と答えたのは中学で24.4%、高校では48.4%にも上りました。
小学校でも数は少ないが認識している教師はいる。都内のある中学の3年生女子は1日に2~4本も飲んでいて、先生が飲み過ぎだと諭すと、『飲まないとやってられない』と言ったそうです」
流行の背景を元東京福祉大学教授(神経行動薬理学)の栗原久氏はこう分析する。
「塾通いにしろスポーツにしろ、今の小学生は昔に比べて『塾で一番になれ』『人より得意なスポーツを見つけろ』など親から強い要求をされるため、負担が大きい。疲れや眠気を取りたいと思っても、カフェインが含まれるコーヒーやお茶は苦く、子供には好まれない。エナジードリンクは糖分も多く含んでいて非常に甘く、パッケージもオシャレですから、ジュース感覚で気軽に飲めるのでしょう」