「タワマン自体が会社の広告のようなもの」
とはいえ、基本的には「作れば即完売」となるタワマンが多いのだから、旨味は十分ありそうだが、「そもそもタワマンはあまり儲からない」とY氏は語る。
「よく、『高いマンションを建てる方が建築費は安上がりでしょ?』というようなことを聞かれますが、タワマンはスケールメリットがまったく働かないのが実情です。マンションは高さによって建築基準法や消防法などの条件が厳しくなり、100m以上のタワマンになると、強度や防災などの基準が厳しくなるので、1階あたりの単価はむしろ高くなります。そもそもタワマンは富裕層向けなので、ファミリータイプのマンションと単価を比較するのは、あまり意味はありませんが……」
ここまで聞くと、あえてタワマンを建てる理由が分からなくなるが、それでもYさんの会社では複数のプロジェクトが動いているという。これはなぜなのか?
「結局、会社は『○○を手がけた』という実績が欲しいんでしょう。実際、『タワマンを手がけている不動産会社だから』というのは、他のマンション販売現場でも有効なPRポイントになりますから、タワマン自体が会社の広告のようなものです」
誰もが羨むタワマンだが、背景には色々なものがうごめいているようだ。