ビジネスの世界で優秀な人間とはどんな人間か――。それは簡単に言えることではないものの、実際に優秀だと感じ入る人物に会うことはあるだろう。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏もそういった人物に出会っている。中川氏が「優秀なビジネスマン」と感じたその人物像と行動様式を振り返る。
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これまで数々の優秀な人物に会ってきましたが、その中でも白眉といえるのが千葉商科大学講師の常見陽平氏です。同氏は私の一橋大学時代の同級生かつ、HWWA(一橋大学世界プロレスリング同盟)の同門ではありますが、彼のことは優秀だと言うしかありません。彼のことを知っている人からすれば「働き方や人材関連の専門家」「大学の先生」といった見方をするかもしれません。ただ、私はそれ以上に「ビジネスマン」としての彼の方が印象が強いです。
彼は1997年に新卒でリクルートに入り、以後玩具メーカー、ベンチャー系の人材会社に入り、フリーを経て2015年以降現職に就きつつフリーとしての活動も行っています。私が彼と一緒に仕事をする機会は今でもイベントや対談では時々ありますが、ガッツリとやったのは2003年夏から2004年初頭にかけて『OJTで行こう!~ものづくり現場が教えてくれた「変わる」技術~』(翔泳社)という書籍を作った時のことです。
同書はトヨタとリクルートの合弁会社である「OJTソリューションズ」(以下OJT-S)という名古屋をベースとする会社の活動を描いたものです。同社はトヨタ出身のベテランが、「カイゼン」で知られる「トヨタ生産方式」をリクルート出身の若手営業マンとともにクライアント企業に導入・コンサルをするベンチャー企業(当時)でした。
業種も企業風土も異なる2社の合弁会社ということで当時はテレビや新聞等メディアに多数取り上げられましたが、同社の初代広報担当として就任したのが当時28歳だった常見氏だったのです。