米中が激しく対立する通商問題の行方が依然見通せず、日経平均株価は2万2000円を挟んだ展開が続いている。だが、株安となっている今のタイミングが、世界経済を牽引していくような有望銘柄を仕込む絶好のチャンスと捉える専門家は少なくない。
今後、長期間にわたって高成長を期待されている分野がある。あらゆるモノがインターネットにつながるというIoTやAI(人工知能)の進化がもたらす「第4次産業革命」に関連した技術を持つ企業群だ。鍵となるのが「3D-NAND」という高性能半導体で、これがスマホやパソコンはもちろん、AI、さらにはセキュリティや顔認証などのためのカメラ、自動運転の車などありとあらゆるモノに使われていく。その旺盛な半導体需要は過去のどのサイクルよりも大きく、空前の需要拡大は「スーパーサイクル」と呼ばれる。
こうしたスーパーサイクルの到来や上場企業の業績改善などにより、年初の上昇基調から一転、くすぶる展開が続いてきた株式市場も本格的に上向いていくとみられている。
世界の株式市場の動向に詳しいグローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏は、何より米国経済が好調であることを重視する。
「米国では10年間で1.7兆ドルの大規模インフラ投資と1.5兆ドルの大規模減税という財政政策に加え、金融政策ではFRBが慎重に利上げを進めている。景気拡大に向けた両輪が揃い、すでに株価は第4次産業革命の恩恵を享受する企業の多いナスダック総合指数が史上最高値を更新し、不動産価格も好調そのもの。11月の中間選挙を経て米国のクリスマス商戦の活況も予想されることから、年末にかけて米国株と比べて割安な水準となっている日本株も大きく跳ね上がると見ています」
割安な水準となっている今こそ“仕込み時”であるということになる。ケイ・アセット代表の平野憲一氏は「日経平均3万円も見えてくる」と、さらに強気な見方をする。