「分散投資」が投資の基本であることはよく知られている。そして、長い目で見ればその分散した資産を“どこに置くか”が将来を大きく左右することになる。ファイナンシャル・プランナーの清水斐氏が「アセット・アロケーション」と並んで大切な「アセット・ロケーション」について解説する。
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金融に対して興味を持ち、さまざまな方法で運用を行っている方が増えてきました。それはファイナンシャル・プランナーとしては、とても嬉しい状況です。そのように運用を始めた方には、もう一歩踏み込んで考えていただきたいことがあります。それは「アセット・ロケーション」と呼ばれる考え方です。つまり、「資産の種類に応じた最適な置き場所を考えること」です。
アセット・ロケーションと似た言葉に「アセット・アロケーション」があります。アロケーション(allocation)を直訳すると「配分」。すなわち“複数の資産に配分しリスクを小さくする投資戦略”ということで、投資の基本と言われる「分散投資」の考え方そのものです。
アセット・アロケーションの考え方で分散投資をするなら、その置き場を考える「アセット・ロケーション」が重要になるのです。例えば「投資信託」を取ってみても、昔からある一般的な「証券口座」で運用するのか、「NISA(少額投資非課税制度)」の口座か、あるいは「つみたてNISA」なのか、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の口座で運用するのかで、大きく変わってきます。
資産に応じてより良い置き場所はどこか、例を出して考えてみましょう。
「国内株式」「海外株式」「国内債券」「海外債券」の4種類の資産に分散投資すると仮定します。4つの中で最もリスクはありますがリターンも期待できる「海外株式」は、「NISA」や「確定拠出年金」といった“置き場”で運用するほうが運用益が非課税になるため、リターンはより高くなります。