2008年に運用を開始し、10年間で基準価額を5倍に膨らませ、今や日本株運用で最大ファンドとなった「ひふみ投信」シリーズ。純資産総額1兆円も視野に入れ、もはや「敵なし」にも思えるが、運用責任者である藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者)は、「常に3つの敵に勝つことを念頭に置いている」という。
「まず1つ目が現預金、2つ目がTOPIX(東証株価指数)、そして3つ目がライバルのファンドです」(藤野氏。以下「」内同)
1つ目の現預金について、藤野氏は次のように説明する。
「日本の個人金融資産は約1800兆円で、そのうち現預金の占める比率は50%以上、実に930兆円ものお金が現預金といわれています。この現預金が投資や消費に少しでも回れば、世の中を動かす原動力になるのに、そうはなっていない。このうちのたとえば100兆円を投資に回せたら日本は変わっていきます。私たちもその一助になれたらという思いでやっています」
2つ目のTOPIXについては、同ファンドが参考にしている指数であり、運用実績でどれだけ上回れるかが、ファンドの評価に直結する。実際、ひふみ投信は設定以来の10年間で、TOPIX(配当込み)の「+94.3%」の実績に対して「+419.7%」という高い運用成績を誇っており、今後もこの数字をどれだけ上積みできるかが、ファンド運用のカギとなるだろう。