能動的に生活を少しずつ変えていくという方策は、「人生100年時代の老後破産リスク」を避けるための有力な選択肢となり得る。自ら考え、変化に刺激を受けながら楽しむ――そんな“65歳からの家計術”を考えてみたい。
定年後年金生活が始まってみたら受給額が思ったほどなく、月5万円を貯金で切り崩すはめになったという人は少なくないだろう。
それを捻出するにはひたすら節約を考えるという手段もあるが、「楽しみながら」というポイントをとことん追求するなら“趣味をおカネに変える”という方法もあり得る。
たとえば、シルバー人材センターが紹介する仕事に、こんなものがある。
「1人暮らしなどの高齢認知症患者の話し相手になる仕事です。話し相手を募集するのは80代を中心とした初期の認知症患者の方が多い。仕事内容は週1日2時間程度、時給は1028円で、依頼者の自宅に伺って昔話を聞いたり、一緒に童謡を歌ったりするというもの。“誰かの役に立っている”という充実感が魅力と感じ、引き受ける方が多いです」(静岡県富士宮市シルバー人材センターの担当者)
首都圏に住む谷瀬次郎さん(仮名・69)は飼い主の代わりに愛犬を世話するペットシッターの仕事を3年前から始めたという。
「旅行などで飼い主が留守中の自宅に入って愛犬を世話する仕事です。報酬は散歩30分で約2500円。2年前に脳梗塞を患った女房の世話もあるため週1回、4時間程度しか働いていませんが、介護に疲れた時などリフレッシュには最高の時間です。
私自身もチワワとトイプードル、ゴールデンレトリバーの3匹を長年飼っていて、現役時代から休日はずっと愛犬たちと戯れていました。だから定年後にして“天職”に出会えたと感じています」