政府主導で実現に向けて動いている「自動運転」。運転席のドライバーに代わり、車に搭載されたカメラやセンサー、超音波などを駆使して、システム(車)が走行中の周辺環境を認識あるいは感知して、車の走る、止まる、車線を変更する、速度を維持する…これらを制御する技術は、政府が掲げる自動運転の定義に従えば、すべて「自動運転」だ。
その意味では、衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能など、事故を未然に防ぐ、あるいは軽減する「予防安全技術」も自動運転の範疇だ。車メーカー各社は、国のガイドラインを踏まえつつ、独自の安全運転支援機能を開発している。
これに加えて、車体を全角度から把握するマルチビューカメラシステムや、車線内で加速や停止を自動でコントロールしながら前方車に追従する自動パイロット機能など、運転のストレスを軽減する快適な運転支援機能も多彩だ。
「自動運転」には5つのレベルがある。レベル0は自動運転機能が一切ついていない車。そこから始まり、レベル1は車による運転サポート、レベル2は高速道路での部分自動運転化、レベル3は条件付き自動運転、レベル4は高速道路での完全自動。そしてレベル5が車が自律的に走行する「完全自動運転」、無人走行も可能なレベルだ。運転で考え得る危険の回避と「ついていたら便利」を網羅して、車の機能はすでにレベル3に達しているように思えるが、実際のところ、現状はレベル2と3の間あたりだという。
「なぜなら、それらの機能はハンドルを握るドライバーの“支援”にすぎないから。ドライバーに“車を確実に操作する義務”を定めた道交法によって、運転責任の所在はドライバーに100%ある。その意味では、厳密に言うと今の日本に“自動運転車”は存在しません」(モータージャーナリストの渡辺敏史さん)
これが2020年施行予定のレベル3になると、道交法が改正され、いわゆる「手離し走行」のように、ドライバーが運転責任を車に委ねる状況が生まれる。まだ議論の最中ではあるが、事故の際には、車メーカーの責任が問われる可能性が大きい。これはメーカーにとって重大な事態で、ドライブレコーダーなどの標準装備化も検討されている。