2020年卒業予定の大学生たちの事実上の就職活動が始まっている。毎年、新卒採用の現場では、さまざまな「トンデモ学生」が事件を起こしている。『学歴フィルター』(小学館新書)の著者で就職コンサルタントの福島直樹氏がリポートする。
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ある企業のインターンシップでは、応募者が多いため、大学生たちにグループディスカッションを行わせて選考している。この企業は夏場にはクールビズを導入しており、学生にも事前に人事からクールビズで来るように案内があった。
ところがある男子学生は、Tシャツ、短パン、サンダルで選考会場に登場した。いまさら説明する必要もないだろうが、ベンチャー企業など一部の服装をまったく問わない企業を除けば、襟つきシャツに長いパンツが常識である。
中身で選考するとはいえ、服装から常識のなさを面接官に印象づけてしまい、損である。当該学生は会場へ到着して瞬時に、自身の服装が「不正解」であることに気付いたのだろう。動揺して本来の調子で発言できなかったようだ。グループディスカッションでは終始黙っていて、最後の5分間でなんとか挽回しようと発言したようだが、選考には落ちた。
また会社説明会・セミナーでは、最後に人事からアンケート用紙が配られて、「ご自由にお書きください」と説明されることがある。当然、これは参加した学生が会社側へ自己PRするためのものだ。だが、アンケートに見当違いな内容を書く学生が毎年いる。
「ご自由にお書きください」を字義通りに受け止めて、アンケートに「エアコンがききすぎて会場が寒い」とか「会場が駅から遠い」などと書いてしまう学生がいるのである。
そもそも会社説明会の会場に辿り着けない学生もいる。スマホでGoogleマップなどの地図サービスが利用できる時代に、受け付け開始時刻よりも早めに会場に向かえば、迷ったとしても時間までには難なく到着できるだろう。
だが、ある学生は道に迷い、人事に電話して「迎えに来てほしい」とのたまった。もちろん人事は学生に自力で会場に来るように伝えて迎えを断ったが、彼は自分が客だと勘違いしていたのだろうか。
最後に人事が好印象を抱いたケースを紹介したい。