長期間にわたって引き出しや預け入れといった取引が行われていない状態にある預金(普通・通常預貯金、定期預貯金、当座預貯金など)は「休眠預金」とよばれており、毎年1200億円程度発生している。そのうち500億円程度は預金者が申し出てくるが、それでもおおよそ700億円程度が毎年眠ったままの状態となっている。
これまで休眠預金の扱いは金融機関によって異なっていたが、2018年1月1日より施行された休眠預金等活用法において、その扱いが統一された。「2009年1月1日以降の取引から10年以上においてその後の取引がない預金」からこの法律に則って休眠預金となり、2019年1月1日から民間公益活動を促進するために活用されることになる。
休眠預金は金融機関より「1.預金保険機構」に移管される。そこから「2.指定活用団体」に交付され、それが「3.資金分配団体」に助成・貸付が行われ、その後「4.民間公益活動を行う団体」に助成・貸付・出資が行われるという流れになっている。
休眠預金が直接使われる「4.民間公益活動を行う団体」がどのような団体なのかが気になるところだが、具体的には子どもや若者の支援や、日常・社会生活上の困難者の支援、地域社会の活力低下に対する支援など、今後日本が待ち受ける人口急減・超高齢化社会のなかで生まれる課題の解決を図ることを目的とした民間団体となる。
これらの団体は公募によって決定することとされており、基本方針に即して「2.指定活用団体」(10月1日申請受付開始、年内指定予定)が策定する事業計画や、内閣総理大臣が策定する基本計画において定められる。まだ未確定の部分が大きく、今後の動向に応じてその内容は柔軟に変化するといえるだろう。
では、10年をすぎていったん預金保険機構に移管されたら預金者の手に戻ることはないのだろうか。