アイディアはあるのに資金が足りないなどといった問題に対して、インターネットで資金を集める方法として市民権を得てきたクラウドファンディング。個人や中小企業などがこのサービスを活用して、世の中に魅力的なサービスやプロダクトを生み出してきた。
近年は、大手企業もクラウドファンディングに注目しているようだ。サイバーエージェント系列の購入型クラウドファンディングサービス「Makuake」には、大手企業が掲載するプロジェクトも少なくない。これまでも、auが携帯電話型の変形フィギュアを限定販売したり、エーザイが機能性表示食品のドリンクを販売するなどしてきた。中小企業や個人とは違い、資金力に乏しいというわけではなさそうなのに一体なぜだろうか?
JVCケンウッドも「Makuake」でプロジェクトを展開した大手企業のひとつだ。イヤホンの販売というプロジェクトの目標金額は100万円。その程度の資金を同社が用意できないとは考えにくい。それではなぜ同社はクラウドファンディングを利用したのだろうか。
「新規提案商品の正式発売の検討に際し、ユーザー様の受容や反応を見るためのテストマーケティングが主目的です。直接的にユーザー様の声を聞ける機会としてクラウドファンディングが有意義だと考えました」(JVCケンウッド広報担当者)
つまり、発売前の商品に対して、ユーザーの反応が見られるということ。反応が数字という形でダイレクトに現れるのでわかりやすい。
「また、新たなコンセプトの商品開発にあたって、ユーザー様の受容や反応を確認して商品化するための検討材料としました。支援者からのメッセージを通じて具体的な商品内容に対するご意見を得ることで、次期商品開発に反映することや、支援額自体が本商品の必要性のものさしになると考えました」(同氏)