毎月の「少額贈与」なら非課税
この相続税をゼロにする方法がある。円満相続税理士法人代表の橘慶太氏が指摘する。
「相続税対策の原則は、生きているうちにお金を使い、なるべく貯蓄を“圧縮”することです」
そのために有効なのが生前贈与だ。使わない年金が口座に貯まり、自宅の不動産や他の貯金と合わせて相続税の課税額を超える前に、子供に贈与していく。孫の教育資金であれば、一括1500万円の贈与まで非課税になる特例もある。
「子供への生前贈与は1人あたり年間110万円まで非課税になります。2人なら毎年220万円、5年続ければ1100万円、10年なら2200万円を渡して相続財産を圧縮できます。
注意しなければならないのは、子供が贈与を受けたお金をそのまま自分の口座に貯金していた場合など、相続の際に税務署から名義預金(名義が変更されただけで預金の実質的な所有者が変わっていないと判断されること)と見做され課税対象になる可能性がある。孫への1500万円までの教育資金贈与も使途が限定されるうえ、金融機関に信託して払い戻しの際には学費の領収証提出が条件になっているなど使い勝手があまりよくない面があります」
それを避けるには、毎月少額を贈与していくのが賢いやり方だ。
「年金が毎月10万円余るなら、そこから孫の高校の授業料や塾の月謝を払ってあげたり、子供世帯の毎月の生活費として渡し、使い切ってしまう。親から子への生活費の援助、孫への教育費などを必要な都度、贈与するのは非課税です。子供世帯はその分、やりくりが楽になり、親の財産も課税額を超えることはありません」
※週刊ポスト2018年8月17・24日号