サラリーマンOBは年金収入が「211万円の壁」の境界近くにある人がほとんどだ。年金生活は住民税が「課税」か「非課税」かで天と地ほどの差が出る。この境界線になるのが年金収入「211万円」だ。
年金収入が212万円となり住民税が課税されてしまうと、社会保険料に大きな差が出るなどして、年金収入が1万円多いために年間の手取りが10万円少なくなるといったケースも起こりうる。ほんのわずかの違いで“無税天国”か“重税地獄”かに分かれることになる。
「計算したら年金がどうしても壁を少し越えてしまう。住民税非課税の恩恵を受けられそうにない」──自分は“税金取られ損”組じゃないかとガッカリしている人も、あきらめるのはまだ早い。
211万円を超える部分の年金だけを減らし、恩恵たっぷりの「定年後無税族」(住民税非課税世帯)になる秘策がある。年金の「繰り上げ受給」である。
年金の受給開始年齢は65歳が基本となっているが、それ以前に受け取る「繰り上げ受給」と、それ以降に受け取る「繰り下げ受給」が選択できる。
受給開始を1か月繰り上げるごとに受け取る金額が0.5%減額されて、本来受け取れる金額が減るため、繰り上げ受給は回避されがちだ。だが65歳からの受給額を下げて住民税を非課税にするには、この手段が有効となる。