日経平均株価は6月12日に一時2万3000円台をつけて以降、8月に入ってもそれを一度も上回らないさえない展開が続いている。その間、日本株に大きな影響を与える米国市場では、ハイテク株の多いナスダック総合指数が最高値を更新し、ニューヨークダウも2万5000ドル台を回復。為替も1ドル=110円台と輸出企業の多い日本株にとっては好材料といえる円安水準にあるというのに、なぜか。
グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は、「6月14日にECB(欧州中央銀行)が量的金融緩和策の年内終了を発表したのに加え、翌15日に政府が発表した『骨太の方針2018』が期待外れだったことが大きい」という。
すでに利上げに踏み切っている米国に続き、欧州も量的緩和策の打ち切りを表明したことで、米欧の金融政策は平時へと戻り始めた。これによって世界的に資金が溢れていた状況が変化し、新興国から米国へと資金が還流。米国株はもちろん、米国債にも資金が流入して債券価格が上昇したことで、米国の長期金利(10年もの国債金利)も下がり始め、米国への一極集中が鮮明化している。
加えて、こと日本においては、今後の経済財政運営と改革の基本方針を定めた「骨太の方針2018」も悪材料になっているという。戸松氏が解説する。
「その国の株価を左右する2大要素は『金融政策』と『財政政策』です。その両輪が揃うと景気が加速し、株価が上昇する環境が整います。日銀の金融緩和政策が続く一方で、政府の財政政策が今回の骨太の方針で打ち出されると期待が高まっていたのですが、残念ながら景気を腰折れさせる見込みの高い2019年10月の消費税10%への増税が明記され、それをカバーするだけの目ぼしい財政政策も打ち出されませんでした。これによって株式市場では財政拡大への期待感は後退してしまったのです」