駅前の大規模商業施設にあらゆる店舗が揃い、ひとつの建物内で衣・食・住・遊がすべて賄える街が便利なのは分かる。しかし、八百屋、魚屋、クリーニング屋、米屋、ふとん屋、豆腐屋など、きらびやかではないが、日常生活に必要なものが揃う商店街がある街は、一度住むと離れがたいものだ。居心地の良い商店街がある街はどこにあるのか? ライターの金子則男氏が、「JR埼京線」の商店街がある街を紹介する。
【板橋(板橋区)】
池袋の隣という絶好の場所にありながら、「寝るために帰る街」ではないのが板橋。それもそのはず、ホームの北側を横切る踏切は旧中山道で、道の左右には、軽く半世紀は営業していると思われる飲食店や商店が何軒もあります。
東口駅前には近藤勇の墓所があり、新選組ファンの姿もちらほら。旧中山道を東京方面に5~6分歩いたところには、「亀の子束子」の本店もあります。やや分かりにくい場所ですが、映画『テルマエ・ロマエ』のロケでも使われたシブい銭湯『稲荷湯』は一見の価値あり。飲食店も安くて美味しい店が多く、居心地の良さを感じる人は多いです。
【十条(北区)】
地方で、そして東京で商店街が消えつつあるなか、素晴らしい商店街が広がるのが十条です。西口に広がる「十条銀座」は、都内では珍しいアーケード商店街で、その長さはおよそ400m。雨の日でも傘なしで買い物が可能です。
道の左右にはあらゆるタイプの商店や飲食店が揃っており、いつも大賑わい。ほんの少し裏道に入った所にある『斎藤酒場』は、酒飲みなら一度は訪ねたい居酒屋の名店。池袋からわずか2駅ながら、物価は都内でも最安クラスで、文句のつけようがありません。