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ブランドモノで優劣つけるシンガポール富裕層の「キアス気質」とは

マウンティングが多いのも「キアス気質」のせい?

 アジアの金融センターと言われ、世界中から富裕層が集まっているシンガポール。そのセレブの間では、持っているブランド品で優劣が決まるという。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)の著者で、当地に住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏が、シンガポール富裕層の「キアス」と呼ばれる気質についてリポートする。

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 シンガポールの超富裕層の嫁姑バトルを描く、映画『クレイジー・リッチ!』(日本では9月28日公開予定)の試写会があったので、見に行ってきました。主人公は、ニューヨークで経済学の教授として働いているアメリカンチャイニーズの女性。長年の恋人(大学からニューヨークに住むシンガポール人)が、親友の結婚式に出席するというので、一緒に彼の故郷のシンガポールへ向かいます。すると、飛行機はファーストクラス。なんと恋人はシンガポールでは知らない人がいないくらいの老舗不動産デベロッパーを経営する一族の御曹司で、社交界の女性たちから超人気の独身男性の一人でもあった──というストーリーです。見どころは、御曹司の恋人として突然現れた主人公に対する、彼を狙っていた女性たちや母親など親族からの嫌がらせとマウンティング。

 嫁姑のバトルは世界共通です。シンガポーリアンの友達も、姑はイギリス人というロシア人の友達も「姑とのバトル」について漏らしていました。日本であれば、料理などの家事でバトルが起きることが多いですが、お金持ち中華系は陰湿です。セレブリティかどうか、学歴、身につけている物や資産などを引き合いに出すからです。

 ただし、中華系の女性は“うわべが9割”なので、見た目さえ変えればセレブリティのパーティーに参加できて、その一員になれます。映画の主人公は富裕層の友達に選んでもらんだドレスを着てパーティーに挑んでいました。日本ならば紺などのワンピースで参加する人が多いでしょうが、胸の開いた金色のドレスでパーティーに臨みます。そういう気質は、映画上の演出ではなく、実際にあるのです。

 特にシンガポールにいると、ブランドモノを身につけている人に対する尊敬の眼差しが大きいことを感じます。「Aさんはこのブランドを身につけていて素晴らしい」「Bさんのドレスが素晴らしいから、Bさんは手厚く扱いなさい」といったような、ギャグじゃないかと思える言葉も、実際の会話の中で聞いたことがあります。

 人の本質ではなくうわべを見て判断するのは「キアス」という気質からだと言われています。シンガポール人の間では知られた言葉です。

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