2018年初めに2万4000円台だった日経平均株価は2月のニューヨークダウ暴落を機に2万1000円を割り込み、その後も2万2000円を挟んだ展開が続いている。年初には「年内にも日経平均3万円」と予想する市場関係者も多かったが、米中貿易摩擦にトルコリラ暴落などと悪材料に見舞われるなか、そんな望みは薄らいでしまったのか。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が解説する。
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株価を左右する2大要素は、「金融政策」と「財政政策」だ。米国では10年間で1.7兆ドルの大規模インフラ投資と1.5兆ドルの大規模減税という財政政策に加え、金融政策ではFRB(連邦準備制度理事会)が慎重に利上げを進めている。景気拡大に向けた両輪が揃い、ニューヨークダウが2万5000ドル台を回復し、ナスダック総合指数は史上最高値を更新している。
対して日本は、日銀が異次元金融緩和という金融政策をフル稼働している一方で、政府は6月15日に示した「骨太の方針2018」でも目新しい財政政策を打ち出していない。これでは株価上昇もなかなか望めないように思えるが、まだ「年内日経平均3万円」の可能性は残っている。
そのポイントとなるのが、9月に予定される自民党総裁選だ。総裁3選に向けて安倍晋三首相が「2019年10月に予定される消費増税の延期」または「大規模な財政政策」を打ち出せば、潮目は大きく変わるだろう。景気を拡大させるには、GDP(国内総生産)の6割を占めるとされる個人消費を刺激することが何よりであり、消費増税延期を示唆したりするような発言があれば、景気が加速し、株価上昇の機運も高まるはずだ。
増税延期と財政政策の両方が打ち出されるようなら「年内に日経平均3万円」は十分にあり得るし、そうなれば2020年までに日経平均3万5000円も視野に入ってくる。どちらか一方でも「日経平均3万円」に向けた上昇局面を描くだろう。