ただ冷静に考えれば、「骨太の方針」でも、目新しい財政政策を打ち出せなかったように、その可能性が高いとは言いにくい。また仮に石破茂氏が新総裁に選出されるようなら、「緊縮財政」が強まるため、ますますその可能性は遠のくだろう。
だからといって、このまま日経平均が上昇しないというわけではない。株価はEPS(1株当たり利益)×PER(株価収益率)が適正水準といわれる。現在、日経平均の前期実績EPSは1800円前後で今期は減益予想となっているが、日本企業の想定為替レートは106円前後と極めて保守的のため、円安による為替差益の拡大によってEPSは1850円は見込める。
そして先進国のPERは14~16倍とされるなか、日経平均は依然として13倍程度と割安になっており、これが14倍まで見直されてくるようだと、EPS(1850円)×PER(14倍)=2万5900円となり、年内2万6000円が視野に入ってくる。さらに今後も10%程度の増益が続けば、2020年までに2万8000円は見込めるかもしれない。
「日経平均3万円」は条件付きとしても、日経平均の今後の上昇はまだまだ望める。そう考えていくと、株価のさえない現状こそ「買い場」と捉えることもできるだろう。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しを配信するメルマガ「日本株通信」を展開中。