お墓の事情に詳しい東洋大学ライフデザイン学部非常勤講師(エンディングデザイン研究所代表)の井上治代氏が語る。
「金額は10万~20万円程度が多いのですが、中には数百万円以上を請求してくるお寺もある。お墓の購入時にそうした“契約解除”に関する取り決めが交わされることは少ないですが、寺院境内墓地を契約することが檀家になる意思表示なので、お墓を移すと離檀料を求められるケースが多い。菩提寺が埋葬許可証を出してくれないと墓じまいができないので、強く出られない檀家さんが多いのが現実です」
支払いを拒否したケースもある。ある寺院関係者が語る。
「北陸のある寺で、墓じまいの際に離檀料を100万円要求され、怒った檀家が弁護士を立てた。結局、法廷闘争直前で寺側が折れて、10万円に“大幅値下げ”されたのですが、この手のトラブルは枚挙にいとまがない」
逆に寺側が墓じまいの意向を拒否して“強行手段”に出るケースも。
「ある檀家が北関東の山奥の寺から都内の納骨堂に墓を移そうとしたところ、“顧客の流出”を阻止したい住職が、墓地の入り口に『車両通行禁止』の看板を立てて撤去業者が入れないようにしたことがありました。最終的には双方が話し合いを重ねて解決しましたが、墓地の管理は寺が行なっているだけに、檀家は抵抗しようがない」(前出・寺院関係者)
墓石撤去の際、作業を請け負う石材店から高額の請求を受ける事例も増えているという。
相場は1平方メートルあたり5万~15万円というが、重機が入れない場所にある墓の場合、値段が跳ね上がる。3年前、山梨県の実家の菩提寺で墓じまいをしたB氏(58)が語る。