吉本興業に、アジア版「あなたの街に“住みます”プロジェクト」という企画がある。若手のお笑い芸人が、アジアの各地で日本のエンターテインメントを広める伝道師として、現地に密着。日本のエンターテインメントを広げるという使命をもって、台湾、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムに滞在している。
2015年4月から約10か月間、「タイ住みます芸人」としてタイに住んだ一輪車パフォーマーのベン山形は、「苦しくて、辛くて、途中でリタイヤしてしまいました…」と当時のことを振り返る。いったい、何がそんなに辛かったのか。
ベンによれば、「タイ住みます芸人」の基本給は、生活費として手渡しされたという。
「1万5000円の家賃、タイ語学校の授業料1万円、それプラス最低限の生活費を月初めにもらいます。本当にギリギリ生活できるくらいの額でした。住んでいたところは超ボロアパートで、全面コンクリート張りの牢屋のようなところ。6畳にキングサイズのベッドが備え付けられていたため、生活スペースはほとんどベッドの上でした。エアコンもついていたのですが、凍えるような空気しか出なかったので、いつも扇風機をつけて生活していました」。(ベン、以下「」内同)
もちろん仕事もしていた。毎週日本人向けのラジオ番組に出演し、企業パーティーなどの営業が入ったこともあったというが、給料はその場ではもらえず、帰国後の後払いだったそうだ。