足元で中国経済の減速が目立っている。7月の輸出の伸び率は6月よりも1ポイント上昇し、12.2%増となったものの、鉱工業生産は横ばいで6.0%増、固定資産投資(累計)は0.5ポイント低下し5.5%増、小売り売上高は0.2ポイント低下し、8.8%増となった。
固定資産投資の減速は、インフラ投資の減速が主な要因であり、当局が質の悪いプロジェクトについて見直しを行ったことによるところが大きい。政府は金融リスクの縮小により重点を置いていたからであるが、下期の経済運営方針として、インフラ投資の加速などで景気を支えると既に表明している。今後、固定資産投資は徐々に上向くことになるだろう。
一方、消費はどうだろうか? 7月の小売売上高は、5月の8.5%に続き9%を割り込んでいるが、9%割れは、手元にある2005年1月以来の統計を見る限り、これら2回しかない。構造的に消費の伸びは落ちている。
消費の中身をもう少し詳しくみると、自動車、家電などの耐久消費財が振るわず、一方で、食品、ファッション、日用品などが比較的堅調である。アメリカでは不景気の特徴として“口紅効果”が報告されている。景気が悪くなっても、人々は強い消費意欲を持っており、それが口紅のような比較的安い必需品でないモノの消費に向かうという効果である。足元の中国の消費の状況をみると、こうした傾向が顕著にみられる。
中国本土株式市場では、ザーサイ(フウ陵ザーサイ、002507)、醤油(海天味業、603288)、パン(桃李面包、603866)などを製造する企業の株価が相対的に堅調である。こうしたディフェンシブ銘柄が注目を集めるのは、相場、あるいは景気の悪い時の特徴でもあるが、やはり、企業業績が安定していることが株価の堅調に繋がっているとみるべきであろう。