2017年に入ってから、一人当たり可処分所得は安定成長をしているが、都市部消費支出をみると、相対的に弱いといった状況が続いている。その背景には、逆資産効果が表れているのではないかといった見方がある。
ここ数年、一部の地方で不動産価格コントロール政策が実施されており、それが強化されている。不動産価格の調整は穏やかではあるが、上昇余地は限られると考えている人々が増えているのではないか。また、本土株式市場をみると、はっきりとした下落傾向がみられる。このように資産の縮小や収入の鈍化見通しが強まったことで、消費支出が弱まっているのではないか。
一部の外資系証券会社は、所得水準の上昇、中間所得層の増加によって、消費は高い伸びを示すようになるとして、消費関連を長期有望銘柄としているところがある。しかし、こうした観点はあくまで長期の見方であって、消費は短期的には収入、資産価値などに影響を受ける。消費全体の低迷はもう少し続く可能性がありそうだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。