ニッセイ基礎研究所が今年6月に〈高齢者を直撃する物価上昇~世代間で格差~〉と題する衝撃的な内容のレポートを公表した。
消費者物価指数の変動について、年齢層を3つに分けて調べると、世代によって大きな違いがあり、2014~2017年の4年間で39歳以下の上昇率が3.7%だったのに対し、60歳以上では5.5%となったという。つまり、デフレ時代といわれるものの、高齢者にはインフレが到来していたのだ。
なぜそんなことが起きるのか。理由は、消費志向の違いにある。同研究所経済研究部研究員の白波瀬康雄氏が解説する。
「世代によって、お金の使い方は違ってきます。どんなものにお金を使うことが多いのか、という消費ウエイトで見ていくと、60歳以上が比重を多く置いている生鮮食品、住居の修繕費用、交通・通信のうち固定電話料金などが、全体を平均した物価上昇率を上回っていました」
60歳以上がよく買うものばかりが、どんどん値上がりしているということだ。固定電話が当たり前の60歳以上に比べ、若い世代では自宅に固定電話を置かず、携帯電話のみという世帯も増えている。
「2015年10月にNTTコミュニケーションズが料金を改定したことで、固定電話の通信料は4年間で5%の値上げがあった。一方、携帯電話はマイナス6.9%です。固定電話を引いている世帯だけが負担増になる。