このようにPERは企業の成長率を反映していないので、企業の成長率を反映した上で割安株を特定する必要があります。私が活用している指標は「PEGレシオ」という指標になります。「PEGレシオ」は、企業のPER÷年間成長率で求めることができます。
先ほどの2社の例だと、A社のPEGレシオは、1.0(PER〈20倍〉÷年間成長率〈20%〉)、B社のPEGレシオは2.0(PER〈20倍〉÷年間成長率〈10%〉)となります。著名投資家のピーター・リンチ氏はPEGレシオについて、1.0が適正値、0.5以下が極めて割安、2.0以上が極めて割高と考えています。A社とB社は同じPERであっても、PEGレシオで見ると、A社は「適正値」、B社は「極めて割高」となります。このようにPERだけで割安度を判断すると、結果的に割高な株を購入してしまうことがあるので、PER単体での判断はお薦めできません。
また、A社とB社の5年後の株価をPEGレシオの「適正値」で算出すると、A社は4980円(1株あたりの年間純利益〈249円×20倍〉)、B社は1610円(1株あたりの年間純利益〈161円×10倍〉)となり、現在は同じ株価、同じPERであっても、5年後の理論株価は3倍以上の差になります。
市場が悲観しているときには、PEGレシオ0.5の「極めて割安」な企業がたくさんありますが、市場が楽観しているときに0.5以下の企業を見つけるのは困難です。市場の状況にもよりますが、勝ち幅を大きくするためにも、負け幅を小さくするためにも、PEGレシオが1.0以下の「割安」な株に投資するよう心がけるとよいのではないでしょうか。