2015年に相続税の大改正が実施され、今まで富裕層が中心だった課税対象者が倍近くに増加した。相続を「争族」にしないためにも基礎知識は必要。特に、相続財産で大きな割合を占める土地は、評価を間違えると莫大な相続税が発生してしまい、過払いの原因となりがちだ。『税理士法人アレース』代表・保手浜洋介さんが解説する。
「現金や預貯金残高などは計算ですぐ出せますが、土地の評価は難しく、正しく評価されていないケースがあるのです」(保手浜さん。以下「」内同)
土地の評価は、路線価方式や、固定資産税評価額(自宅の場合)をもとに計算されるのが基本。だが、故人と同居していた配偶者、または、同居親族が自宅を相続すれば、一定面積までの土地の評価額が80%減額される特例がある。例えば5000万円の土地なら評価は1000万円になり、他に財産がなければ相続税が発生しない可能性も。
また、イラストのようにクセのある土地の場合、評価を間違えられやすい。
「例えば、安価な農地だったところが、近くまで鉄道が延びるなど、ここ20~30年で開発が進み、急に高額の宅地と評価され、莫大な相続税がかけられるようなこともある。他にも、よく調べれば、敷地内に高低差がある、騒音がある、高圧線の下にあるなど、評価を下げられるポイントが見つかりやすいのですが…。高い相続税を支払う前に、専門家に相談してください」
たとえばこんなケースがある。
【ケース1】500平米以上の土地は「広大地」適用で減額できる
対象となる土地が、500平米以上の場合は、最大65%もの評価減が可能な「広大地」が適用される。3大都市では500平米、その他では1000平米以上の面積で、戸建て住宅に適した土地など詳細要件のクリアが必須で、戸建て分譲地として開発する際に、敷地内道路を作る必要があるなどと認められればOK。ただし、2017年12月末までの相続に適用されるので、申告期限が2018年10月末までの人が対象。