さば缶の勢いが止まらない。公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、水産缶詰の生産量は、さば缶がツナ缶を抜いてトップに躍り出た。
売り上げも絶好調で、水産大手マルハニチロの2018年3月期純利益は2期連続過去最高を更新。同じく水産大手の極洋も、2018年3月期連結売上高は7.7%増の過去最高を達成した。同協会公認の“缶詰博士”の黒川勇人さんが話す。
「現在、過去に例のない空前のさば缶ブームが来ています。あまりに売れすぎるので、大手缶詰メーカーは1年間のさば缶の予定生産量を既に売り切り、追加生産で何とか対応している状況です」
だが、さば缶がここまで人気となったのは、近年のこと。
「さば缶は、1990年代前半までは家庭の便利な総菜として重宝されていました。特にさばのみそ煮缶は調理せずそのまま食べられるため、夜の晩酌のおつまみなどとして親しまれていたようです。当時はそうした便利な総菜が少なかったのでしょう。
しかし、1990年代後半からはコンビニが急速に普及し、冷凍食品の質も向上しおいしくなったことで、缶詰の優位性が次第に失われていきました。加えて、安価なツナ缶が増えてきたことも大きな要因でしょう」(黒川さん)