ドラマ『義母と娘のブルース』で話題となっている、綾瀬はるかの「バリキャリママ・亜希子」の演技。世界中から富裕層が集まり「バリキャリ」も多数いるシンガポールでは、そんなママたちが少なくないという。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)の著者で、当地に住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏が目撃した“リアル亜希子”の姿とは──。
* * *
元キャリアウーマンの義母と娘の交流を描く、綾瀬はるかさん主演のドラマ『義母と娘のブルース』が話題になっています。綾瀬さん演じる「亜希子」がPTAを合理化しようという回(第3話)は、私も日本に一時帰国した際に見ました。
ドラマでは、何年もPTAに携わっていて仕切ろうとするママ軍団に対し、元バリキャリの亜希子がビジネスの視点から“無駄なPTAの仕事はいらない”とばかりにバッサバッサと合理化を進めようとするというバトルが描かれましたが、シンガポールで目撃した元バリキャリママはちょっと違いました。
バレエの発表会のボランティアで、イギリス人ママたちや中華系ママたちと3~4歳クラスの子供たちの補佐をしていた時のこと。
中華系ママや私は、子供たちのお菓子にチョコレートやクッキーなどジャンクなものばかり持ってきていたのですが、元バリキャリのイギリス人ママは手作りサンドイッチ、チーズスティック、ベビーキャロットなどをタッパーウェアに大量に入れて持ってきて、他の子供たちにも振舞っていたのです。とてもジャンクなお菓子など取り出せる雰囲気ではありませんでした。
さらに、待ち時間に子供たちが暇を持て余していると、彼女はバッグからサッとお絵かきセットを取り出して10人弱の子供たちに配布。子供たちが彼女の周りに集まって遊び始めました。私は自分の子供のおもちゃくらいしか持って来ていなかったので、肩身が狭い思いをしました。
まだあります。バレエの衣装にバッテリーがついていて電池を入れなければならなかったのですが、先生たちも特に説明をしていなかったので半分以上の子供が電池を持ってくるのを忘れていました。しかし、なんと彼女はほぼ全員分の予備を持ってきていて「これ、どうぞ使ってください」とテキパキ渡し始めたのです。それでも1つ足りなかったのですが、彼女はその場から飛び出していって、あっという間にどこかで調達してくれました。