被災して避難所生活を余儀なくされた場合、誰もが一日も早く住み慣れた自宅に戻りたいと思うのは自然なことだろう。肝心のわが家は安全なのか、それとも修理や建て直しが必要なのか。生活再建の第一歩になるのが「罹災証明書」の申請だ。
これは家屋の被害の程度を証明する書類で、どんな自然災害でも被災者と切っても切れない存在だ。様々な復興・支援制度を利用する際に必要となるもので、市町村の窓口で申請すると、後日、自治体の担当者が現地に足を運んで被害状況を確認、調査し、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4段階に分けて認定する。
西日本豪雨のような水害の場合、〈住家流出または床上1.8m以上の浸水〉なら「全壊」、〈1m以上の浸水〉なら「大規模半壊」といった具合だ。日弁連災害復興支援委員会委員長の津久井進弁護士が解説する。
「床上浸水して泥や水を被ったとき、罹災証明のための被害状況確認の前に、家族やボランティアと協力して処理や掃除を施すと、見た目にはきれいに映るため、“本当は半壊なのに、一部損壊とされてしまう”といったように被害を正しく認定してもらえないことがあります。
自宅を早く元通りにしたいと思うのは自然なことですが、その前に建物の内外の状況を手持ちのスマホなどで写真に記録しておくと、そうした“誤認”を避けることができます」