常に大規模な自然災害と隣り合わせの日本人は、災害が起きることを前提に暮らしていかなくてはならない。
被災からの再起を図る上でとりわけ重要となるのが「お金」だが、“手助け”となる制度もあることが十分に意識されているだろうか。
被災した家を解体して建て直すか、補修して住み続けるか──そうした決断をする際に頼もしい支えとなるのが、「被災者生活再建支援制度(以下、生活再建支援制度)」だ。
この制度では、第1段階として住宅の被害の程度に応じて受け取れる「基礎支援金」が、全壊=100万円、大規模半壊=50万円。さらに第2段階として、住宅の再建方法に応じて受け取れる「加算支援金」が建設・購入=200万円、補修=100万円、賃借(物件に移り住む)=50万円と上乗せされ、最大で合計300万円のお金を受け取ることができる。
ここで重要となるのが、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4段階に分けて認定される判定の正確さだ。
仮に「全壊」の住宅を解体して新たに「建設」すると合計300万円のお金が受け取れるわけだが、誤って「大規模半壊」と判定されてしまい、再申請もしていないと、建て直しても、合計250円しか受け取れない。50万円の違いが生まれるのだ。
同じ災害で被害を受けても、支援を受けられる人と受けられない人が存在する。日弁連災害復興支援委員会委員長の津久井進弁護士が指摘する。
「本来は“同一災害・同一支援”であるべきですが、生活再建支援制度が適用されるのは自治体単位で、〈10件以上の住宅全壊被害が発生した市町村〉など一定の適用要件があります。その条件に満たなければ、制度上の支援額は“0円”。支援を受けられる被災者との間で大きな格差が生じることになっています」