常に大規模な自然災害と隣り合わせの日本人は、災害が起きることを前提に暮らしていかなくてはならない。被災からの再起を図る上でとりわけ重要となるのが「お金」だが、“手助け”となる制度もあることが十分に意識されているだろうか。
例えば、住宅の大規模な損害は免れたものの、トイレの破損や屋根に穴が開くなど、ちょっとした補修が必要なら、災害救助法に基づく「応急修理」の制度が利用できる。58万4000円を上限に国や自治体が費用を負担する。日弁連災害復興支援委員会委員長の津久井進弁護士が解説する。
「申請を受けた自治体が業者に発注し、代金を支払う仕組みです。手元のお金からの持ち出しはゼロで済む」
だが、この制度の利用には注意が必要だ。
「自宅を修繕することで、“自宅に住める人”と見なされます。そのため、その後、何か問題が見つかっても、仮設住宅への入居が認められない可能性がある」(同前)
仮設住宅というとプレハブ住宅をイメージする人も多いだろう。入居を余儀なくされた被災者からは、「無機質な雰囲気に、ただでさえ暗い気持ちがさらにどんよりする」という言葉が聞こえることもある。