《秋田が学力トップ! その驚くべき秘密とは?》《大阪市は2年連続ワーストを更新》──今年7月末に公表された「全国学力・学習状況調査」(通称・全国学力テスト、2017年度)の結果はそう話題となった。2007年から毎年4月、全国の国公私立の小学6年生と中学3年生延べ200万人を対象に実施されてきた国語と算数・数学の一大テストは、約50憶円の国費が投じられるビッグプロジェクトで、全国の教育者からの注目度も高い。
2016、2017年度の学力テストで「2年連続、政令指定都市内で最下位」と、不名誉な注目を浴びた大阪市長は事態を重く見て、テスト結果を校長や教員のボーナスに反映する方針を示した。
教育現場が結果を巡って白熱する一方で、テストに付随して行われた「保護者アンケート」の存在はあまり知られていない。これまで、2013年度と2017年度の2度のみ、実施された。教育ジャーナリストのおおたとしまささんが言う。
「学力テストは都道府県別や市町村別のランキングばかりが注目されますが、実は『保護者アンケート』からも多くのことが読みとれます」
アンケートの対象は、テストを受けた小6と中3の保護者から無作為に抽出された12万人。「両親の学歴」「所得」「就業時間」といった家庭環境や経済状況を尋ね、子供のテスト正答率との相関関係を調べたものだ。調査にあたったお茶の水女子大学文教育学部の浜野隆教授が解説する。
「分析の結果、子供の学力に影響を与える要因は、本人の努力や学校の在り方だけでなく、保護者と家庭環境の影響が強いことを実感しました。もちろん学校教育も大切ですが、学校は“すべての子供に平等な教育をする”という建前がある。基本的にクラス全員が同じ時間、同じ内容の授業を受けるため、それ以外の時間をどう過ごすかが、学力に大きく影響するのだと思います」
調査結果は242頁に及ぶ報告書にまとめられた。膨大な報告書をひもとくと、子供の学力を決定する数々の「不都合な真実」が見えてきた。