投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が9月17日~9月21日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はもみ合いか。米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を今月25~26日に控え、米経済指標内容を慎重に見極める展開となりそうだ。トランプ政権の貿易赤字是正に向けた通商政策も主要なテーマとなり、貿易摩擦への強い警戒から安全逃避の円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は今月25-26日開催のFOMCで3カ月ぶりの追加利上げに踏み切る公算だが、市場は年内2回の追加利上げをほぼ織り込んでいる。今後発表される経済指標が想定に沿った内容となれば、年4回の利上げシナリオ(あと2回)は維持されるだろう。トルコ中央銀行は13日、政策金利を17.75%から24.00%まで引き上げており、タカ派寄りのスタンスを示したことは、市場センチメントを改善させる効果があり、目先的にはリスク選好的な円売りが優勢となる可能性がある。
ただ、12日の8月生産者物価指数と13日の8月消費者物価指数はいずれも予想を下回った。また、FOMCメンバーの間では、「引き締めは不十分」(ブレイナードFRB理事)とタカ派的な意見が聞かれる反面、「金融引き締めは中立的な水準に到達」(セントルイス連銀のブラード総裁)と慎重な見方も出始め、目先の利上げ打ち止め観測が広がればドルの大幅な上昇は想定しにくい。
一方、トランプ米政権は貿易赤字削減のため強硬な通商政策を引き続き推進する方針。米中貿易協議が再開された場合、貿易摩擦回避への思惑が再び広がり、円売りを誘発しそうだ。ただ、米中間の通商問題を払しょくするには至っておらず、ドルは上値の重さが意識されるだろう。
【米・8月住宅着工件数】(19日発表予定)
19日発表の8月住宅着工件数(年率換算)は122.5万戸と、7月の116.8万戸を上回る見通し。住宅関連指標はやや弱さが目立つものの、8月実績が予想通りなら消費を後押しし、景気拡大への寄与が期待される。
【米・8月フィラデルフィア連銀景況調査】(20日発表予定)
20日発表の米8月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は15.0と予想される。8月の11.9からは回復の見通し。市場予想とおおむね一致すれば、景気拡大基調は維持されるとみられる。