投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が9月24日~9月28日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は底堅い動きとなりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は25-26日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3回目の利上げに踏み切る公算。利上げ実施後にポジション調整的なドル売りが一時的に増えるとの見方が出ているものの、12月に追加利上げが実施される可能性は高いとみられており、利上げ継続方針を意識してリスク回避的なドル売り・円買いは抑制されることになりそうだ。
米FRBは政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を現行の1.75-2.00%から2.00-2.25%に引き上げる公算。市場はすでに3カ月ぶりの利上げを織り込んでおり、発表後は調整の売りが出るかもしれない。金融当局者の間では、長短金利差縮小への言及で過度な金融引き締めに慎重な意見も目立っているが、中立的な水準まで利上げを継続することはおおむね一致している。FOMC後の声明でタカ派寄りの姿勢が示されれば、年内の引き締め継続を見込んだドル買いが見込まれる。
一方、トランプ政権は貿易赤字是正に向けた強硬な通商政策を緩めたわけではないが、中国が人民元安政策を改める方針で、米中貿易摩擦は緩和される方向にある。それを受け、貿易環境の改善を背景とした世界的な株高で、円売り基調が強まる可能性はあろう。
その他、欧州連合(EU)からの英国離脱(ブレグジット)に関し、英国とEUの条件交渉などで合意に至るにはいくつかの問題・条件が残されているとみられ、交渉は難航しているようだ。双方の要人からの発言でポンドやユーロが急落し、クロス円レートの下落を通じてドル安・円高の相場展開となる可能性があるので注意したい。
【日米貿易協議(FFR)】(24日開催予定)
日米貿易協議(FFR)の2回目の会合は今月24日になるもようだ。当初は21日開催の方向で調整されていたようだが、米国側の調整は遅れている。来週行われる予定の日米首脳会談で貿易問題について議論される可能性は高いとみられており、市場関係者の間では「茂木経済再生担当相とライトハイザー米通商代表(USTR)などが出席するFFRは日米首脳会談に備えた内容になる」との見方が多いようだ。
【米・連邦公開市場委員会(FOMC)会合】(25-26日開催予定)
米FRBは日本時間9月27日午前3時に声明を発表し、その後パウエル議長が記者会見する。今回の政策金利引き上げはほぼ織り込み済みで、12月利上げの手がかりを得られればドル買いは継続しそうだ。ただ、今後の打ち止めに観測で利益確定売りも想定される。
【米・4-6月期国内総生産(GDP)確報値】(27日発表予定)
27日発表の4-6月期国内総生産(GDP)確報値は、拡大基調の維持が期待される。改定値は速報値を予想外に上回り、前期比年率+4.2%と2014年10-12月期以来の高成長を示した。確定値が想定通りの内容となれば、ドル買い材料となりそうだ。