「試食で作ったメニューは家でもよく作る」
試食販売の仕事は、土屋さんのプライベートも大きく変えた。実生活の変化の1つは、料理スキルが上がったことだ。
「例えば、店で買うものだと思っていたローストビーフも、試食販売で扱ってからは自分で作るようになりました。新商品にも明るくなった結果、『これ、いい生クリーム使ってるじゃない』なんて舌が肥えてくるので、いい物が欲しくなる。それはそれで家計を圧迫して困りものですが(笑い)」
性格も変わった。笑顔でハキハキと話す今の土屋さんからは想像できないが、以前は極度の人見知りだった。
「しゃべる前に考えてしまって、なかなか口を開けませんでした。この仕事に就いて社交的になったので、学校でもママたちと会話ができるようになり、仲よくなれたのは本当によかった」
新人販売員から「あんなふうになりたい」と憧れられ、メーカーからは「ぜひ彼女で!」と懇願される試食販売の女王も、家に帰れば12才と10才の子供を持つ母親だ。
「試食で作ったメニューは、家でもよく作る。2人とも男の子だから普段は無口だけど、この時ばかりは『おいしい!』と言って食べてくれます。立ったまましゃべって調理して……と売場に出た後はクタクタですが、そんな時も自分が売っていた『時短メニュー』に助けられる。たまに、売り切れて買って帰れないこともあるんですが……(笑い)」
※女性セブン2018年10月4日号