実質自己負担2000円で全国各地の自治体から豪華な返礼品を受け取れる「ふるさと納税」は、返礼品競争に拍車がかかり、ブームが過熱。ついに返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限定するよう総務省から「待った」がかかり、大きな曲がり角を迎えている。
各地の混乱は、野田聖子総務相の“変心”によるものでもある。就任直後の昨年9月、野田氏は新聞社のインタビューのなかで、各自治体に通知を出した総務省に対し、「自治体にお任せするのが当然」と発言していた。
「今回のご自分が発した言葉と比べてください」と、佐賀牛のももスライス500g(寄付額1万円)や家電製品などを返礼品としてきた佐賀県みやき町の末安伸之町長が首をひねるのももっともだろう。ふるさと納税で食費0円生活を送る「ふるさと納税の達人」こと金森重樹氏は、次のように指摘する。
「“返礼品の額”を寄付額の3割以下に抑えるという『3割ルール』は、返礼品の小売価格なのか卸価格なのか、それとも原価をもとに考えるのかが明確ではない。『地場産品ルール』も、たとえば県外で生まれた牛が何歳までに移ってくれば地場産とするのかといった点がはっきりしない。いずれも基準が曖昧としかいいようがない」
各地の混乱に拍車がかかるのも当然だろう。
博多の明太子1.2kg(寄付額1万円)や北海道産ホタテ貝柱1.5kg(同1万円)などを返礼品とする宮崎県都農町では、苦渋の決断を迫られたという。
「ホタテは友好都市である北海道の佐呂間町産で、今年6月時点では県に『友好都市のものならばOK』といわれたのですが、9月には国から『地場産品以外』と名指しされた。この3か月の間に方針を変えたという周知もありません。仕方がないので、今後は取り扱わないことになった」(ふるさと納税係の担当者)