日本の水道インフラを巡る状況はかなり深刻な状況にある。水道料金は年々上がり続け、日本水道協会によると、料金値上げに踏み切った自治体はこの1年で47にのぼる。また、自治体ごとの料金格差も大きく、月額約6000円、年額にして7万2000円近くの金額差が生じている(20立方メートルあたり)。
「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(改訂版)」(EY新日本有限責任監査法人 水の安全保障戦略機構事務局による)のデータによると、2040年までに料金値上げが必要な自治体は全体の90%。そして、それらのうち、約4割は30%以上の値上げを余儀なくされる。自治体間の料金格差はさらに広がり、高額地域と少額地域の格差は19.6倍にまで広がる、とされている。
水道料金は、現状の水道事業を維持するとなれば値上げされるのは必至だ。そうした中で、私たちにどんなことができるだろうか。それは、日々の生活で水を大切にすることだ。
東京の家庭では、1人が1日に使う水の量は平均210リットル、2リットルペットボトルに換算すると100本超になる(平成27年度・東京都水道局調べ)。水道の蛇口をひねると1分間で約12リットルの水が、シャワーを3分間流し続けると約36リットルもの水が出る。水道を使う際、無駄遣いをなくそうとする意識を少し持つだけでも、いずれ大きな差が生じる。
日々の節水について、一般社団法人Water-nの奥田早希子さんはこう話す。
「節水というと、使う水の量を減らすことをまず思い浮かべますが、家庭を守る主婦のかたがたにとっては、排水をきれいにするという意識を持つことがさらに大切になるかと思います。
油やティッシュペーパー、髪の毛など、水に流れにくいものを流すと排水管が詰まりやすくなります。特に料理で使った油をそのまま流すと、川や海に油の塊(オイルボール)が流れつくことになり、これが大きな環境問題になっています」