損しないように投資先は厳選済み
投資信託の中には、手数料の高い商品もあるが、つみたてNISAならそんな心配も無用だ。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんが解説する。
「つみたてNISAの対象商品は、いずれも金融庁が厳選した、手数料の安い、長期投資に適した優秀な商品ばかり。国が投資初心者の投資を促すために導入した優遇制度なので、基本的には中長期的に安定して資産が増やせる商品が選ばれています」
投資信託協会によると、日本の投資信託の数は約6000本。その中には、10年以上運用され、高い成績を収める良質なものもあるが、その数は全体から見るとごくわずか。ほとんどが手数料・短期売買目的で作られ、ろくに運用されずに終わる悪い投資信託だ。近年は、こうした投資信託が増えすぎ、多くの個人投資家が損失を被る状況が横行したため、金融庁が厳しく指摘してきた背景がある。
こうした状況の中、6000本もの中から、初心者がよい投信を見つけるのは難しい。そこで、つみたてNISAでは、初心者が投資しやすいよう、158本(9月5日時点)まで絞り込んだのだ。
つみたてNISAは実際にどのくらい得なのか。例えば、つみたてNISAで毎月1万円を20年間、5%の利回りで運用した場合、元本約240万円に対し、20年後に受け取れる運用益を上乗せした金額は約405万円(図1)。
定期預金の一般的な金利0.01%で20年間運用しても元本とほぼ変わらないが、つみたてNISAを活用すれば、約165万円も得するのだ。
毎月3万円積み立てた場合なら、元本約720万円に対し20年後には約1217万円と、約500万円も増える結果になった(図2)。漫然と銀行に預け続けているのが、いかにもったいないことか──。