延期に次ぐ延期を重ねてきた10%への消費増税まで、いよいよあと1年を切った。2019年10月の増税前に大きな買い物を済ませるのが得策に思えるが、必ずしもそうではない。
これまで消費税は3%から5%、5%から8%に引き上げられ、いずれも増税前には「駆け込み需要」が高まった。ただ、冷静に見ていくと、むしろ増税後に購入したほうが得だったケースも少なくない。節約アドバイザーの丸山晴美氏が振り返る。
「1997年に消費税が5%に増税される際、私の周りでもマイホームを駆け込みで買った方が多かった。しかし、その後に買い控えが起きて不動産価格が一気に下がった。私は1999年にマンションを購入しましたが、価格は高かった頃の3分の1以下で、増税前に焦って買うよりも断然安かった」
増税前に駆け込みで購入するものとして真っ先に思い浮かぶのが、金額が大きい住宅だろう。だが、住宅ジャーナリストの山下和之氏も丸山氏と同様に注意を促す。
「よくあるのが“中古物件も急いで買ったほうがいい”という勘違いです。消費税の納税義務があるのは事業者だけで、所有者が不動産業者ではなく個人の中古物件に消費税はかからないので急ぐ必要はない。
不動産業者が販売する物件についても、増税後の反動減を見越して、前回の増税時同様、『住宅ローン減税の延長・拡充』や『すまい給付金』といった支援策が今年12月頃には出揃ってくるはず。それらの支援策を見たうえで増税前に買ったほうがいいのかを判断しても遅くはない。何より、前回の増税前は駆け込み需要が殺到する売り手市場でしたが、増税後は買い手市場に一変した。本当に買いたい物件でないものを焦って買うのは本末転倒です」