「生涯現役社会」に名を借りた“年金支給先延ばし時代”が近づいている。安倍政権が進めようとしている年金大改悪で、年金の支給開始年齢が現行の65歳から68歳、さらに70歳以上へと引き上げられようとしており、受給者から年金を減らす一方で、保険料負担を増していく仕掛けがある。
迫り来る厳しい時代を生き抜く対策を立てるには、まず自分が置かれている現状を冷静に分析する必要がある。
60歳定年の後、再雇用で会社に残ることに抵抗を感じる人は少なくない。かつての部下が上司になったり、窓際扱いされたりという状況はよくある。何より、給料が半分ほどに減ってしまうことが多い。
東京都産業労働局「高年齢者の継続雇用に関する実態調査」(2013年)では、定年時を10割とした場合、賃金水準が「5~6割未満」が23.3%、「6~7割未満」が22.6%となっている。
「給料が下がるぐらいなら、もうリタイアするか」と考えるのは早計だ。雇用保険では、60歳以降も仕事を続けたり、再就職したものの給料が下がった人に「補填」をする制度があるからだ。
たとえば定年前に月給40万円で働いているAさんが、定年後の再就職で月18万円にまで給料が下がったとする。この場合に申請できるのが『高年齢雇用継続基本給付金』だ。