「生涯現役社会」に名を借りた“年金支給先延ばし時代”が近づいている。安倍政権が進めようとしている年金大改悪で、年金の支給開始年齢が現行の65歳から68歳、さらに70歳以上へと引き上げられようとしており、受給者から年金を減らす一方で、保険料負担を増していく仕掛けがある。
迫り来る厳しい時代を生き抜く対策を立てるには、まず自分が置かれている現状を冷静に分析する必要がある。「大損する」のはどんな人なのか、年金制度を駆使すれば「救われる」のは誰なのか。その分岐点をわかりやすく整理した。
パートで働いて家計を支える妻は“働き損”となるケースが多い。
例えば妻の年収が150万円を超えると夫の所得からの控除が段階的に縮小され、年収201万円を超えると控除が受けられなくなる(夫の収入が1220万円以下の場合)。これがいわゆる「150万円の壁」だ。
税や社会保険料の負担が跳ね上がる収入の「壁」は、ほかにも「106万円」「130万円」などがある。これらの壁を超えると手取り額が激減するため、パート主婦は就業日数や収入の調整に苦心してきた。だが、政府は短時間労働者にもさらなる負担増を強いようとしている。
目下、政府は年収82万円超の労働者を厚生年金に強制加入させる方針で、制度の策定を進めている。実現すれば近い将来、パート主婦の前に新たな「82万円の壁」がそびえ立つことになる。